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タイカルチャー基礎知識:タイの農業

タイは、もともと中国の雲南省にいたタイ族が、漢民族に押されて南下して約1000年前に入植したことから始まりました。彼らは水田稲作文化を花開かせ、農業国を作り上げました。現在、タイでは人口の約25%にあたる1635万人が農業に携わっています(*1)。年間180億ドルの農産物を輸出している世界で14位の農産物輸出国で、なかでも日本は最大の輸出先で、全農産物輸出高の約10%前後が日本向けに輸出されています(*2)。長年、米輸出高世界一位として君臨し、米以外にもタピオカ、天然ゴム、穀物、砂糖、ブラック・アイボリー・コーヒー、パイナップル、そしてエビの養殖等も行っています。しかし、2011年末の大洪水がタイの農業に大きな打撃を与えました。この洪水で、約400万の米作農家、約10万の魚や小エビの養殖場が失われました(*3)。以来、タイは中国とベトナムに、米輸出高一位の座を明け渡しています。 sumita30 農業が盛んなタイでは、興味深い祭りが各地で行われています。毎年5月初旬に、タイ東北部のヤソートーン県で催されるブン・バンファイと呼ばれる「ロケット祭り」も、奇祭の一つに数えられています。これは雨季とともに農期が始まるタイで、十分な雨量を空の神様(パヤ・テーン)にお願いする雨乞いのお祭りです。ロケットや打ち上げ台は、すべて村人たちの手作りです。でも手作りだからと言って油断するなかれ。ロケットの爆音は、耳を塞いでいないととても耐えられないぐらいの凄さなのです。

実は、これとよく似た祭りが、毎年10月に埼玉県秩父市の吉田で開かれます。この「龍勢祭り」は、秩父市の方がたまたまタイの「ロケット祭り」を見て、交流を申し出たのをきっかけに始まり、両市の交流は20年以上も続いているそうです。もともとは同じ農業国のタイと日本。そしてタイの農産物の輸入に頼っている日本。両国はもっとお互いの多くの地域で行われている祭りを研究して、交流に力を入れるべきかもしれませんね。

*1 2012年ITUCタイ協議会資料 *2 タイの農業事情Banana News from Thailand *3 タイ王国の農業Wikipedia

住田 千鶴子 スミタ・トレーニング・センター&コンサルタント主宰。長年にわたり、日本人駐在員や日系企業のタイ人従業員向けのトレーニング講師、国際会議での通訳・翻訳業務に携わる。著書「タイ国とタイ人」は紀伊国屋書店等にて販売中。 http://sumitaschool.com/

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